擲弾筒とは日本軍独特の軽迫撃砲です。擲弾筒1門は3名の班で運用され、擲弾筒分隊はこの班が3個9名と分隊長の合計10名で編成されます。1個小隊には1個から2個の擲弾筒分隊が編成されます。
擲弾筒は軽機関銃と並ぶ歩兵の直掩火器ですので、ぜひ再現をしたく、時間をかけてコレクションしました。本当は、いつか実物も手に入れたいと思っていますが、当面はレプリカで揃えています。ただ、レプリカもいろいろと手を加えた方がよい部分があるため、その工程を紹介したいと思います。
八九式重擲弾筒
日本のCAW(Craft Apple Works)という会社が、八九式重擲弾筒を販売していました。現在は絶版となっていて、ごく稀にヤフオクなどに出品されるものを買うくらいしか入手する方法がなくなってしまいました。私がこの擲弾筒を入手したのは2016年頃、当時でも半年に1回出品されるかどうかくらいの頻度でした。
擲弾筒本体のディテールアップポイントは主に3点です。
- 照準線を白に塗装する(訓練用の擲弾筒はこの線が赤)
- 引金に引革を装着する(引金を引くためのストラップ状のもの)
- 支柱部分の外被を交換する
引革と外被については、でくの房さんがディテールアップ工作の様子をブログにアップしてくださっていますので、そちらが参考になると思います。また、これらはでくの房さんで販売もされていますので、購入しても良いと思います。
私も当初、引革は自作しました。複雑な構造ではありませんので、レザークラフトの練習にもちょうど良いです。ただ、最近でくの房さんから引革と外被を購入させていただく機会があり、交換をしました。
擲弾筒収容嚢
中田商店の擲弾筒収容嚢です。おそらく製造から20年近く経っており、一部の革が硬化していたり、真鍮の金具に緑青が発生していました。そこで、革の部分を全て取り外し、新しく作り直すこととしました。
特に接着剤は使用されていなかったため、糸を切っていくだけで全て分解することができました。真鍮の金具はスチールウールで磨きました。
全ての革部品を取り外し、新しく作り直しました。一つずつ、帆布の袋に縫い直していきます。
革部品の付けなおしが完了した状態です。この作業を行った当時、これで完成だと思っていたのですが、そもそもこの中田商店の収容嚢は、取り付け間違いがあるということをでくの房さんに教えていただきました。
問題は、以下の写真の赤丸の部分です。その形状から、この革は負紐の肩に当たる部分を補強しているものだと考えていました。しかしこの革は、擲弾筒が収容嚢から出てこないように駐板を抑えるものだそうです。
しかし、正しい取り付け方法をした場合、更に問題が発生します。帆布の袋が短いため、このままでは擲弾筒を収納することができなくなってしまうのです。解決方法としては、以下の2択が考えられます。
- 駐板を抑える革を作り直して長くする
- 帆布の袋を作り直して長くする
修正範囲が小さいのは1番の方ですが、収容嚢から擲弾筒の足がはみ出す形になって、不格好になりそうです。2番の方は全部分解して作り直しのような形になりますが、CAWの八九式重擲弾筒は、実物とほぼ同じ大きさだそうですので、擲弾筒に合わせて帆布の袋を作り直した方が完成度が高くなりそうです。
ということで、帆布の袋の作り直しを今後やっていきたいと思います。今回のタイトルが「レプリカ八九式重擲弾筒のディテールアップ Part 1」だったのは、次回、収容嚢の大改造をしますよという前振りでした。
弾嚢
擲弾筒の弾嚢については、最近、でくの房さんが製作をして販売なさっています。中田商店のものよりも実物に忠実だそうですので、でくの房さんのものを購入するのが良いと思います。
私が購入したのは少しお値打ちな試作品で、市販の帆布が使用されたものでした。現在は、実物を元に染色した生地で製作したものも販売されています。
弾嚢につけるサスペンダーもでくの房さんで製作をされています。ただ、でくの房さん曰く、中田商店のサスペンダーはとてもよくできているそうで、中田製のサスペンダーがあれば買いなおさなくても良いそうです。