防寒脚絆は、特殊地方用被服に分類される防寒被服で、防寒靴とセットで着用される装備です。本体はウール素材で作られており、裏側の縁には毛皮が縫い付けられています。昭和13年の「服制並びに装具の中改正」1の中に他の防寒装備と一緒に記載があります。
実物は、表面に虫食いが見られたり、毛皮が非常に抜けやすくなっている個体が多く、実用可能な状態のものは少ないのが現状です。
検定印難読 小号
防寒脚絆の構造は、下士官兵用の革脚絆によく似ています。下士官兵用の革脚絆では、足裏を通すベルトが切断されている個体をよく見かけますが、防寒脚絆で同様に切断されているものは、これまでのところ見たことがありません。
この個体は比較的毛皮の状態が良好ですが、それでも触れると毛が抜けてしまい、経年劣化の影響が感じられます。
ウール製の装備品によく見られる例ですが、検定印は判読できません。消失したというよりも、製造当初から不鮮明に押されていたように見受けられます。サイズ表記は、糸で「小」と縫い取られています。
昭和19年製 広島陸軍被服支廠 小号
こちらの個体は毛皮の状態がやや劣りますが、虫食いはほとんど見られず、全体としては良好な保存状態です。
検定印は明瞭に押されており、判読が可能です。サイズ表記も「小」と縫い取られています。
この個体で残念だった点は、右足側のバックルが2つ欠損していたことです。自然脱落というよりも、部品取りのために意図的に外されたように見受けられます。
本品はヤフオクで購入しましたが、バックル欠品についての記載はなく、掲載写真も該当箇所が分からないように撮影されていたため、受け取るまで気付きませんでした。専門知識のなさそうなリサイクル業者からの購入ではありましたが、結果として不誠実な印象を受けました。この状態であれば、購入しなかったであろう価格設定だっただけに残念です。こちらもヤフオクに出品している立場のため、トラブルを避ける意味で評価は付けていませんが、今後この出品者から購入することはないと思います。
文句を言っていても仕方がないので、欠損部分は自分で修正しました。バックルは下士官兵用革脚絆と同じ、平たいアルミ製で、現在市販されているものには見られない形状です。やむを得ず、サイズの合う現代製のバックルで代用しました。
一目でレストア部分と分かる仕上がりになったため、かえって良かったのではないかと思っています。
脚注
- 「陸軍服制第5條に依る服制並装具の制式中改正の件」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C01001561600、永存書類甲輯 第1類 昭和13年(防衛省防衛研究所) ↩︎
















