今回は、大東亜戦争期の巻脚絆を紹介していきます。巻脚絆は、概ね明治の終わり頃に仕様が固まり、その後、昭和20年まで大きな改変はなく使用され続けました。
大東亜戦争期の巻脚絆と一口に言っても、以下のように様々な色味や材質のものがあります。色味によって、概ね使用されていた時期が特定されますので、軍装を再現する場合にはそれらを考慮すると良いと思います。
詰襟時代の巻脚絆
以下の巻脚絆は野狸さんのレプリカです。こちらのやや黄色味がかった巻脚絆は初期のもので、大正から昭和初期頃の時代のものになります。四五式軍衣袴や昭五式軍衣袴などと着装すると良いと思います。
こちらの色味の実物にはなかなかお目にかかれません。
こちらは、古鷹屋さんのレプリカです。こちらの茶色っぽいものは、満洲事変の昭和6年の頃から昭和16-17年頃を想定された色です。中国大陸での昭五式軍衣袴や、南方戦線の初戦の軍装などに合うと思います。
こちらも実物はあまり見かけません。
南方戦線用の巻脚絆
大東亜戦争の後半、概ね昭和18年以降になってくると、南方戦線での使用を考慮に入れて巻脚絆の色が濃緑色に変わります。これらは一般的な後期の巻脚絆です。
濃緑色の巻脚絆の実物は、2025年現在では比較的入手が可能です。
こちらは、使用者の所属と名字が記入されていますが、概ね未使用に近いコンディションです。
綿製の紐が短いため、戦闘巻きはできません。後期の巻脚絆は、資源節約のために紐や本体が短いものがあります。
以下に紹介する2組は、いずれも完全未使用品です。
巻脚絆は製造時、写真のように左右が一本の長い綿紐でつながった状態になっています。使用時には、この紐を切り離して左右それぞれに用います。また、一本物の長い綿紐とはいえ、長さが足りない場合には途中で継ぎ足されている点も興味深いところです。
最末期の巻脚絆
以下に紹介するものは、仕様にかなりばらつきがあります。最末期品または民生品ではないかと思います。
こちらは少し緑色が強め。綿紐も戦闘巻きするのに十分な長さがあり、使い勝手が良いのでサバゲーでよく使用していました。
綿紐も本体も少し短め。材質はまだしっかりしています。
未使用品ですが、本体の材質が異なります。
材質が最も粗悪なものです。紐も綿ではなく、スフのため、強く引っ張ると切れてしまいそうです。
収納時の綿紐の巻き方
入手した複数の実物の綿紐は、いずれも以下のような巻き方がされていました。入手経緯がまったく異なる個体で同一の巻き方が確認できたことから、当時一般的、あるいは統制された巻き方だった可能性があると考えられます。
通常の巻き方では紐の終端が中心に来てしまいますが、この方法では終端が外側に来る点が特徴です。

















